NMEAについて

2025.05.22 | NMEA

NMEA-0183とは、アメリカの米国海洋電子機器工業会(National Marine Electronics Association)が制定した、標準フォーマットです。
GNSS測量では、主に位置情報を交換する時に使用するフォーマットです。
NMEAフォーマットには、様々な種類の文型があり、全ての文字列には最初に”$”で始まり、各データはカンマで区切られて、データの最後には”*”とチェックサムが入っています。

今回は代表的な「GGA」「GST」「GSA」がどのような文型なのかを説明します。

<GGA:測位値情報についてのデータ>
測位時刻、位置、測位ステータス等の測位値についてのデータが記載されています。

サンプル
$GPGGA,014956.00,3247.75073570,N,13043.58508150,E,4,11,0.70,4.987,M,34.035,M,1.0,0031*4F

サンプル例 データ項目 説 明
GPGGA メッセージID 最初の2文字(トーカーID)でどの衛星データか決定
GP:GPS GL:GLONASS GA:Galileo GQ:QZSS
GN:GNSS  ※GPとGNがよく使われています。
014956.00 時刻 UTC(協定世界時)の時刻
3247.75073570 緯度 dddmm.mmmm表記
N 南北 緯度方向
N:北緯 S:南緯
13043.58508150 経度 dddmm.mmmm表記
E 東西 経度方向
E:東経 W:西経
4 測位ステータス 1:単独測位
2:DGPS
4:FIX
5:Float
11 使用衛星数 測位に使用した衛星数
0.70 HDOP 水平精度低下率
4.987 標高
M 単位 アンテナ海抜高度の単位
34.035 ジオイド高
M 単位 ジオイド高の単位
1.0 Age 補正情報を受信してからの経過時間
0031 基準局ID
*4F チェックサム 送られてきたデータが途中でおかしくなっていないかチェックする方法の1つ

※NMEAフォーマットでは、経緯度は度分、分で表記されている為、度分秒で使用する場合は変換する必要があります。
サンプル数値を使用して「度分、分」を「度」もしくは「度分秒」に変換してみます。

「度」に変換
北緯 32度47.75073570分 →  32+(47.75073570÷60) =  32.795845595
東経  130度43.58508150分 → 130+(43.58508150÷60) = 130.726418025

「度分秒」に変換
北緯 32度47.75073570分 →  32度47分 (0.75073570×60) =  32度47分45.044142秒
東経  130度43.58508150分 → 130度43分 (0.58508150×60) = 130度43分35.104890秒

テラサット・ジャパンでは、ユーザーが現場で観測した単独測位情報(GGA)を、インターネット回線を利用して、テラサット・ジャパンのサーバーに送ってもらい、その測位情報を元に補正データを作成しています。また、そのGGAからユーザーの観測状況を予想し、サポートにも役立てています。

単独測位情報(GGA)

※インターネットが利用できない環境では、テラサット・ジャパンの補正データを受けることができません。補正データが受けられていない場合には、インターネットが利用できているかどうかを、まずご確認ください。

 

<GST:測位値の誤差・統計についてのデータ>
測位値の品質に関する統計数値が記載されています。

サンプル
$GNGST,062546.00,1.313,0.669,0.610,143.0,0.648,0.632,1.816*41

サンプル例 データ項目 説 明
GNGST メッセージID 最初の2文字(トーカーID)で、どの衛星データか決定
GP:GPS  GL:GLONASS GA:Galileo GQ:QZSS
GN:GNSS ※GPとGNがよく使われています。
062546.00 測位値を算出した時刻 UTC(協定世界時)の時刻
1.313 疑似距離残差のRMS値※1 測位ステータスがDGPSまでは疑似距離、それ以降は搬送波位相距離を使用した測位値のRMS(2乗平均平方根)値
0.669 誤差楕円※2の長半径の標準偏差 予測値を中心に測位値を1シグマ(約68%)囲むような楕円体の長半径・短半径
0.610 誤差楕円の短半径の標準偏差
143.0 誤差楕円の長半径方向 真北方向からの角度
0.648 緯度誤差の標準偏差 緯度・緯度・高さ誤差における標準偏差(1シグマ)
0.632 経度誤差の標準偏差
1.816 高さ誤差の標準偏差
*41 チェックサム 送られてきたデータが途中でおかしくなっていないかチェックする方法の1つ

1RMS(Root Mean Square)は、測位値の品質を表しています。残差(測位値と予測値の差) の2乗の総和を平均し、ルートを取った値です。

2誤差楕円とは、予測値(x,y)を中心として、データが散らばる範囲を表示した楕円の事を言います。RTKの計算結果における水平位置の品質評価として使用され、楕円体の長軸・短軸・長軸の角度の3要素によって決定します。楕円体の面積が大きくなれば、測位値が散らばっていると言うことになるので、測位品質が良くないと言えます。逆に面積が小さいと測位値が固まっているので、測位品質が良いと言えます。

誤差楕円

 

<GSA:DOP及び使用衛星についてのデータ>
受信機の動作モード・使用測位衛星番号・DOP値が記載されています。測位衛星ごとに複数のGSAに分けて出力されています。
システムIDを確認することで、どの衛星システムかを判断することができます。

サンプル
$GNGSA,A,3,26,29,12,28,32,31,25,,,,,,1.8,0.9,1.5,1*37

サンプル例 データ項目 説 明
GNGSA メッセージID 最初の2文字(トーカーID)で、どの衛星データか決定
GP:GPS  GL:GLONASS GA:Galileo GQ:QZSS
GN:GNSS ※GPとGNがよく使われています。
A 2D/3Dモード選択 M:手動(2D・3D固定)
A:自動(3D・2D/3D自動切換え)
3 測位ステータス 1:測位不可
2:2D測位
3:3D測位
26,29,12,28, 32,,, 衛星番号 測位に使用した衛星番号
1.8 PDOP 位置精度低下率
0.9 HDOP 水平精度低下率
1.5 VDOP 鉛直精度低下率
1 システムID 測位衛星システムを表記
1:GPS 2:GLONASS 3:Galileo 5:QZSS
*37 チェックサム 送られてきたデータが途中でおかしくなっていないかチェックする方法の1つ

テラサット・ジャパンでは、実際に設置したGNSS受信機でVRSの補正データを取得し、RTKの計算をさせています。そして、そのGNSS受信機にこれまで説明したNMEAデータ等を出力させ、補正データの品質確認を行っています。